For You ‐この想い君へ‐


「俺はあの日握ってやるはずの手を握れなかったんだ。…美和の手を握ってる間もずっと吉沢のことを考えてた。ずっと」


(松永…)



「美和は体は人より弱いかもしれない。
だけど人より強い心を持ってる。人より温かい心持ってる。…だから美和の笑った顔で誰かを元気づけてやってくれ。少なくとも俺は元気づけられたよ」


松永はいつになく柔らかい笑顔で美和を見つめている


「……」


「握ってやることはできないけど、背中を押すならいくらでも手を貸すから」


「……な…おと」


いつもこうやって美和さんは松永に励まされてきたのだろうか…


手を握って、生きる力をもらっていたのだろうか…


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