【短編】クリス王子とセシル姫
長い口付けから逃げるようにセシルが顎を引く。

クリスはその顎に片手を添えて上向かせると、また唇を重ねた。

「ん、、、!」

セシルが抗議の声を上げる。
構わず続けていると、ついに胸を押して引き剥がされた。

解放されたセシルが胸に手を当てて息を吐く。
不快感を示すように顔をしかめて眉を下げている。

呆然とセシルを見るクリスの前で、彼女はぼそっと呟いた。

「気持ち悪くなってきた、、、」

「―――はぁ?!」

「ちょっと悪いけど、放っておいて」

セシルは窓の外へ顔を向ける。
そして大きく深呼吸している。

―――気持ち悪く、、、。

クリスはセシルの背中を見ながら、その言葉を何度も頭の中で繰り返していた。

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