【短編】クリス王子とセシル姫
やがて曲が終わり、セシルが挨拶をしてこちらに戻ってくる。
クリスが口を開くより前に、側に居たアーサーが「お疲れ様」と彼女に声をかけた。
「すごい香水をつけてたわ」
「体臭を隠してるんだよ」
アーサーがおどけて応える。
「隠しきれてなかったわよ」
セシルの言葉にアーサーが笑う。
そして彼女がクリスを見て「お水を、、、」と言うと同時にすでに水を差し出していた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
セシルの笑顔にアーサーも笑顔で応える。
そんな2人からクリスはとっさに目を逸らした。
「そういえば、2人は子供はまだ?」
アーサーの問いかけに、セシルは「まだよ」と応える。
クリスは内心”子供なんかできるわけないだろ”と突っ込んでいた。
もう1ヶ月以上、彼女の体には触れさせてももらえない。