【短編】クリス王子とセシル姫
仲直り
部屋に戻ったクリスは、着替えを済ませて1人寝台に入った。
本当に1人で寝ることになってしまった。
セシルが追って来てくれるかと少しだけ期待したけど、まだ戻ってこない。

とても眠れそうにないなと思いながら一応横になって目を閉じた。



その時、部屋の扉が開く音が聞こえた。

思わずぱっちり目を開ける。

誰かが入ってきたらしい。
考えるまでも無く、それはセシルに違いなかった。

晩餐会が終わったのだろう。

クリスはゆっくり体を起こした。

足音が近づき、やがてセシルが姿を見せる。
寝台に座って自分を見ているクリスに気付き、にっこり微笑んだ。

なんだか恥ずかしくて目を伏せる。
先ほどの子供みたいな自分が蘇った。

セシルはそんな自分に怒っている様子も無く、やはりいつもと変わらなかった。

「待ってて。着替えるから」

セシルがそう言って奥へ去っていく。

―――待ってて、、、?

先に寝てしまおうと思ってたのに、
そう言われると逆らえない。

クリスはその場で座ったまま、ただ大人しくセシルを待っていた。

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