【短編】クリス王子とセシル姫
セシルがふっと笑った。

「どうしたの、突然」

「別に突然じゃないよ、、、」

クリスが顔を寄せる。

「そっか」

「そうだよ」

2人の唇は自然に重なり合った。


「ん、、、!」


セシルの手がクリスの胸を押す。
唇を離すと、やはりセシルはその顔に不快感を滲ませていた。

「、、、やっぱり、気持ち悪い」

「、、、あ、そう」

先ほど”クリスが気持ち悪いわけじゃない”と言ったばっかりのくせに”やっぱり”ってなんだと思いながら、クリスは諦めたようにそう返す。

セシルはまた前のように背を向けて窓から顔を覗かせた。

思い通りの甘いムードはなかなか訪れない。
けれどもそんな彼女も悪くない。

クリスはその背中を見ながら、やれやれと1人苦笑していた。



<完>
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