先輩とあたし
「遼先輩?にですか?」






「ぁあ、ほんとは彼女といく予定だったらしいんだけど…そうもいかなくなったみたいで譲ってくれた。」




彼女と…





そうもいかなくなった






あ…そう言えば…




伊織が前に





『優奈〜!聞いて!遼くんがさぁ!



ほんと信じられない!!』





っていってた…





まだ喧嘩したままなんだ…





ん?




っていうことは…




「滝岡先輩は恋愛映画好きな訳ではないんですか?」




「嫌いじゃないけど…好きではないかな。」




やっぱり…




うん。男の人だもん。
恋愛映画が好きな人なんてそうそういないよね。





もっとちゃんと聞いとくべきだったな。




お礼したいって言ったの私なのに私が楽しんでてどうすんの〜!




うぅ…




私のバカ!!




「でも、別に楽しんでないわけじゃないよ?」




顔をあげるとにっこり微笑んでる滝岡先輩。





「俺としては優奈『〜♪〜♪』」




その滝岡先輩の言葉は映画が始まる前のコマーシャルの音で聞こえなかった。




「先輩?」




「いや、なんでもない。始まるよ?」




そういって滝岡先輩はスクリーンに向き直った。





気になっていた私だったが映画が始まるとすぐにそちらに熱中した。
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