理想のワタシ


私はバカだった。
どこへ向かって走ってるのかまったく分からない。
ただムカついている。
苛立っているだけ。
あぁ……ウザい。

「あああぁあぁぁぁぁぁぁ!!」

私は叫びながらまだ走る。
走って走って走って。


プァプァーーー!!


車のクラクション。
交差点に飛び出していた私。
それに気づいたのは猛スピードで走ってくる車の目の前。

「!」

ドカッ……

私は思いっきり跳ねられた。
地面に叩きつけられ頭から血が出る。
まだイライラする。

「イ……ヤァ」

また目の前に車。

グシャァ……

今度は下敷き。
タイヤは私の血だらけ。
私の骨はぼろぼろに砕きつぶされ、私自身も血まみれで。
タイヤのどこかに制服の袖が引っかかり、
無理やりな犬の散歩のように引きづられる。

「イヤァァッ……」

車と私が通った道には、
足跡の変わりに、血の線が描かれていた。

あぁ親友に裏切られ、
一体私の理想の友とはなんだったのかな。

それは知ることが出来ず……

プツッ

意識が途絶えた。






**

『貰っていくモノ……それはね


“怒りを静める心”

“落ち着き”

前のあなたが自慢していたトコロ。いただきましたッ』


ワタシは携帯のモニターで真央チャンの死を見届けた後……

【排除されました】

電話記録を消した。
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