理想のワタシ
ワイワイ……
クラスのドアの前で立ち止まる。
昨日までの恐怖がよみがえる。
震えていた。
「……ッ」
でも立ち止まっても仕方が無い!!
入るぞ!!!
ガラッ
皆のしゃべる声が止まり、私に視線を向ける。
普段はスルーだ。
「!?」
皆は困惑していた。
そして一人の女子が私のところへ来た。
「だ……れ?」
まったくわからないらしい。
私は笑顔で
「真央だよ!坂下真央ッ!」
そう言った。
「え!?真央チャン!?」
女の子は叫ぶ。
すると皆が、
「ねぇねぇどうやって可愛くなれたの??」
「意外と話しやすい!」
「早く仲良しになってればよかったぁ~」
「気が合うかもぉ」
私に詰め寄ってきた。
男子も混ざってた。
「真央って明るかったんだな」
「意外にオシャレじゃね??」
「こんな彼女ほし~し」
私は変わった。
変われた。
ァハッ
アハハッ
「あははははははッ」
とびっきりの笑顔で笑った。
皆の会話が楽しいんじゃない。
私は一人じゃない。
孤独じゃない。
人気者。
愛され者。
一瞬で自分が好きになった。
全部、ぜーんぶシタワさんのおかげ。