ヒーローくん!

あーくそぅ…

あれは追っかけてもムリだなぁ…

男の子たちが走っていく後ろ姿を、唇を噛んで見ていた時だった。

「はい、ざんねーん!ストーップ!」

「うわ!」

「のわっ」

「おぉ!?」

突如目の前に現れたその人に、男の子たちは順番にキレイに追突した。

「オマエら、こっから先は兄ちゃんと一緒に行こうか?」

彼らの行く手を男の人が、両腕を組み仁王立ちで、ニッと口角を上げて見下ろした。

「おら、ソコで待ってろ」

180は軽く越えているであろう長身の彼は、小学生にとっては十分迫力満点だった。

男の子たちは、はい!と声を揃えて出入口の横に整列した。

「大丈夫?」

男の人がこちらへ歩いてきて、スッと手を差し出す。

あれ、なんかデジャヴュ。

「はい、なんとか」

差し出された手を掴んで、あたしと眼鏡の子は立ち上がる。

「お客様ー?どうかされましたかー?」

サービスカウンターの奥から店員さんの声が飛んできた。

「いえ、何でもないですー!!」
男の人もといお兄さんは明るい声で返事した。

「あのさ、悪いんだけどそいつの手提げのモノ戻して、一緒に隣の公園まで来てくれる?」

「あ、わかりましたっ」

「頼むね!」

お兄さんはポンと眼鏡の子の頭に手を置いて、スーパーを出て行った。
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