ヒーローくん!
「え?川瀬の声??」
体育祭の説明をしている終礼中、あたしは後ろのシオと喋っていた。
「マコってば、あんなのに興味持っちゃったわけ?」
「いやー、そういうわけでもないんだけどー」
「ま、マコが変なことくらいわかってたけど」
もー、シオちゃんてばヒドイぞぅ。
「何言ってるかがギリギリわかるくらいにモゴモゴ喋るから、どんな声って言われてもねぇ…」
「なんかこう、まっすぐ芯のある声とかは??」
「あー、無いね!」
あらま、即答ですか。
ん~…やっぱり空耳なのかなぁ…
「…はいお疲れさん、じゃあ次、先生からの連絡なー」
話し終わった体育委員が席に戻っていく。
「最近この当たりで痴漢が多発してるからなー、お前らなるべく一人になるなよー」
特に女子!と担任はビシッとキメて、終礼は終わった。
「シオー」
「なーに?」
「ヒーローさんに会いたいからって、わざと痴漢に遭おうとしちゃダメだよー」
「コラ、誰がそんなことするかい!!」
空パンチでツッコんで、シオは帰っていった。
あたしも部活へ行こうとカバンに荷物を詰めていると、窓から川瀬くんが門を出るのが見えた。
う~ん
猫背だなー