ヒーローくん!
「パン粉、パン粉~」
ん??
「おい、はやくしろよっ」
「わ…わかってるよ…」
何やら声が聞こえて、あたしは棚の陰から覗いてみた。
お菓子の陳列棚の前で、数人の小学生の男の子が何やらモメている。
眼鏡をかけた小柄な子が、他の子に何かを促されている。
何してるんだろ…??
…あ!!
「いくぞ」
男の子たちは眼鏡の子を取り囲むように、その場から離れる。
万引きだ…!
あの眼鏡の子、確かに手提げにお菓子入れてた!
万引きさせられてたんだっ!!
でも、たかが安いお菓子数個だよね…
捕まえて、お店に突き出すべきなのかな…?
あたしはうーんと唸った。
…いや、でもっ!!
やっぱりやっちゃいけないことはちゃんと教えてあげなきゃだよね!?
あたしは早足でさっきの男の子たちを追いかけた。
陳列棚の間を縫って歩くと、入り口の手前に彼らがいるのが見えた。
スーパーを出たら犯行確定しちゃう!!
あたしはダッシュで男の子たちの後ろについた。
「ねぇねぇ、君たち~」
あたしがかけた声に、全員がビクッと反応した。
「な、なんだよ、姉ちゃん」
一番後ろにいた、大柄な男の子が答えた。