ヒーローくん!
「お姉ちゃんね、その眼鏡の子とお話があるんだけどなぁ」
「はぁ?なんでだよ!?」
うぉぅ!?なんでソコで逆上しちゃうの!?
「んーと、とりあえずキミ、こっちこない??」
眼鏡の子ににっこり笑顔で言ってみると、ビクリと体を震わせた。
ギュッと手提げを握りなおしている。
「うるせーな!おれらはあんたみたいなババアにかまってるヒマねぇんだよ!」
はぁ!?
なんだとコノがきんちょ!!
「あのねぇ、あたしあんたたちの万引き見て…ふぎゃっ!!?」
ドンッと思い切り突き飛ばされた。
予想外のことに、尻餅をついてしまう。
「逃げろ!!」
隙をついて、男の子たちが一斉に入り口に向かって走り出した。
「あっ!コラ!!」
背負っていたラケットバッグも玉ねぎのカゴも放って、あたしは跳ね起きる。
少し出遅れた眼鏡の子に追いついて手をのばし、ギリギリのところでランドセルを捕まえて勢いよく引っ張った。
「ぅわああっ!?」
バランスを崩した眼鏡の子は、あたしの方に倒れ込んだ。
「あたっ!!」
うう…本日二度目の尻餅…
お尻が割れる~
先を走っていた他の子たちは一瞬こちらを向いたが、そのまま入り口へ猛ダッシュしていく。