ウチら谷川3姉妹
「おせぇーよ。」
『ごめん、ごめん。』
玄関の前には、黒い
学ランを着た龍太が
立っていた。
いつ見ても背が高くて
かっこいいと思ってし
まう。
「何、ボーっとしてん
だよ…。行くぞ。」
『あっ…うん。』
私が歩いて行こう
とすると…
「後ろ、乗れよ。」
いつもの優しい言葉。
『うん。ありがとう。』
龍太の自転車の後ろは
私の特等席。
薫も鈴も乗ったことが
ないと思う。
龍太を独占した気分に
なる。
龍太に抱きつくように
手を回して、背中に頭
をくっつける。