【ND第2回】雨



「彼氏?」


電話を切ると少し悲しそうな顔の由貴が隣にいた。


でも、あたしは気づかないふりをする。


「うん、そう」


変わってしまうことが怖いんだ。


「そっか、彼氏いたんだ」

「うん、すごくかっこいい人だよ」


あたしはにっこり笑って見せると由貴に背を向けた。

「じゃあまたね、由貴」


またね、そう言うあたしに由貴は


「最後に聞いてもいい?」

そう言うんだ。


「最後に?」


「ももは、彼氏の前ではちゃんと笑えているの?」


さっき愛想笑いしたでしょ、と言う由貴に言葉も出なかった。


どうして、由貴は全部わかっちゃうのだろうか?


その答えはすぐに出た。


「俺さ、もものこと好きみたいだ」


真っ直ぐ見て言う君に、自分を偽ることなんて、出来なかった。


もう限界だったんだ。



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