【ND第2回】雨
「…笑えないよ」
斗真が好きで、好きで。
それだけだったのに。
斗真を想うだけで“幸せ”を感じて、自然と笑っていたのに。
いつからあたしは、偽るようになったんだろうか?
ぎゅう…
「なら、行くなよ…行くな」
そう言って、抱き締めてくれる由貴。
「好きだよ…もも」
あたしの何かが崩れていった。
「…彼を忘れさせて…」
もう忘れ去りたい。
あたしの全てをのみこんで。
あたしの全てを壊してしまって。
…──もう後戻りなんて出来ない。