【ND第2回】雨
「あたし…浮気相手なんかじゃなかったんだね…っ」
あたしこんなにも愛されていたんだ。
「…うっ…信じてなくて…ごめんなさいっ…ごめんなさい…」
泣きじゃくるあたしを、慌てたようになだめる斗真。
「浮気相手ってなんのこと言ってんの?もも?」
優しい声に涙は止まらない。
「だってぇ…斗真が女の子と歩いてるとこ…っ見ちゃったのっ」
悲しくて悲しくて。
でも、どうしたらいいのかわからなくて苦しかったんだよ。
あたしが全部話すと、斗真も話してくれた。
「恥ずかしいから本当は、言うつもりなんてなかったのに」
なんてブツブツ言いながら。
斗真によると、隣にいたのはお客さんだったらしい。
あたしとの結婚のため、早くお金を貯められるよう居酒屋で夜バイトしていたらしい。
会えなかったのも、バイトや残業をしたり、休日出勤したりしていたためだった。
「本当にごめんな…」
そう言って、謝ってくる斗真にあたしの涙は引っ込んだ。
「ううん…あたしこそ勘違いしちゃってごめんね…」
「…うん」
「でもさ、もうこれからはあたしにも相談してね?それに…あんなにベタベタくっついていいのは、あたしだけだもん」
ね?そう言って見上げると、斗真は真っ赤になっていた。
今まで、あたしを振り回したお返し。
斗真のおかげで演技上手くなっちゃったからさ。
あたしが素直になれるように責任とってよね?