【ND第2回】雨

それから、わたしはビニール傘を思いきり地面に叩きつけた。

胸を押さえているリュウに向かって、叫ぶ。

「あんたのせいで」

なにが、彼のせいなのか、よくわからない。

けれども、思考が真っ赤に充血したわたしには、あの人がわたしを一番に見てくれないことの一因が、絶対的に彼にあると思えるのだった。


< 51 / 54 >

この作品をシェア

pagetop