【ND第2回】雨
「…もも」
〜♪〜♪
「あ…ちょっと、ごめん」
由貴の会話を遮るようにケータイの着信音がなった。
「もしもし」
〈あ…もも?〉
電話の相手は斗真だった。
「うん」
〈今から会えない?〉
内容は飛び上がるほど、嬉しいものだった。
「えっとぉ」
でも、隣には誰?とジェスチャーしてくる由貴。
あたしは、何を悩んでいるのだろうか?
しばらくの沈黙。
最初に、口を開いたのは斗真だった。
〈ももさ…好きなやつでも出来た?〉
なんてことを、斗真は聞くのだろうか。
「あたしが好きなのは」
チラリと由貴を見る。
「好きなのは…斗真だけよ」
そう斗真だけ。
答えは出た。
最初から、なにも悩む必要なんてないじゃないの。
「今すぐ行く」
〈おう…待ってるな〉