わがままマイハニ―
お嬢様が家を出てから
10時間がたった
そもそもあの何より
夕食を楽しみにしているお嬢様が
夕食の時間に帰ってこなかったなんて
おかしい
夕食を食べてくるにしても
連絡を入れるはずだ
中学生や高校生じゃあるまいし
そんな連絡いれなくても
たかが外食なんて
自由に勝手にしていいんだけど
お嬢様は
なんだかんだ心配性で
過保護な俺に
いつも必ず連絡してくれる
今日はたまたま忘れたって
可能性もあるけど
俺はさっきから
色々考えながら
玄関とリビングを
いったりきたりしてる
「いってきます」
そう言って家をでたお嬢様の顔が
ふと思い浮かぶ
あぁ
考えてたってしょうがない
そう思った時にはすでに
俺は外に出ていた
「坂井さ… 」
俺が坂井さんを呼ぶ前に
坂井さんはもうすでに車の
運転席にいて
「陵さんならそうすると
思ってましたよ」
と笑う
見透かされてたのかと思うと
ちょっと恥ずかしい
「早く
乗って下さい
お嬢様を迎えに行くんでしょう?」
坂井さんの方がずっと
自分が自分を理解してるより
俺の事を理解してる
そ思ったら自分がどれだけ
本当に自分の思ってる事に
素直になれてなかったかに気付く
お嬢様のそばにいるための
執事という権利を失う事が怖くて
ずっと
気付かないふりをしてたんだ
誰よりも
お嬢様が大切だという事に