半熟cherry
『…なんでこんなトコロに…』
連れてこられたのは使われてない空き教室。
特別棟の端っこだから生徒どころか教師も来ない。
「…廊下じゃ、話せないから」
目を細めて口元だけ笑う。
…のは、郁。
そう、私は。
郁にココに連れてこられたのだ。
『…で、なに?』
なんて、言ってみるケド。
郁が何を言いたいのかなんとなくわかってる。
「…“見返り”覚えてんデショ?」
……やっぱり、そのコトか。
『…覚えてるよ』
くやしいケド。
約束は約束だ。
「なら、話は早い」
郁がペコッと頭を下げた。