半熟cherry

「…可愛いよ」



不意に耳元で囁く郁に。

私のドキドキはますます勢いを増していく。



「…茜…」



私の名前を囁くと。

また唇を指でなぞった。



「…茜…」



郁は私を見つめながら名前を呼ぶと。

顔を近付けた。

そして。

自身の顔を傾けた。



私は。

近づいてくる気配に。

ギュッと目を閉じた。





………と思った。





ムニッ。

頬を摘まれる。



……え?

なに…?



おそるおそる目を開くと。

目を細めて微笑む郁。



「目ェ閉じたらホントにしちゃうよ?」

『…なッ!!』



「…顔、赤い」

『ウソッ?!』

「…ウソ」



ペロッと舌を出す郁。



ま、またからかわれたぁ〜ッ!!





「とりあえず、行きマスよ♪」





そう言って。

郁は微笑んだ。



 

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