半熟cherry
「よかったらアドレスとか交換しませんかぁ」
1人の女の子が甘ったるい声を出す。
「や、無理。オンナいるし」
郁はクルンと振り返ると。
「行こ?」
そう囁いて。
掴んでいた腕から手を離し。
私の腰を抱き寄せた。
『ち、ちょっ!!』
「…黙ってろって言ったろ?」
そこには。
いつものからかう素振りなんてなくて。
真剣な顔をした郁がいた。
「年増女より私たちのほうが楽しいと思うんだけどなぁ」
背中側から声が聞こえた。
「……は?」
郁がまた振り返る。
…今、年増女って言ったよね?!
このガキ…。
黙ってればいい気になって。
私、まだそんな年じゃないッ!!
でも。
大人の自分が必死に暴走を止めようとする。
“相手は子供。生徒だと思えばいい”
下を向いて。
握りこぶしに力をこめた。