半熟cherry
『…とりあえず、行こうよ』
どこ行くのかわからないケドね〜。
心の中で自分でツッコミを入れながら。
この重くなりそうな空気をどうにかしたくて郁に言った。
『私が郁にあげた時間は24時間なんだからね?』
そう。
“見返り”は私の24時間。
それをどう使うかは郁の自由だけど。
こんな重苦しい24時間はまっぴらゴメン。
貴重な休みを返してくれって話だよ。
「…じゃ、行きマスか」
見上げた郁の顔は。
目を細めて。
優しい瞳をしていた。