半熟cherry
「待ってて」
そう言って郁はチケット売場に歩いていった。
郁とすれ違う女の子が振り返る。
…あ、こっちの子もだ。
…彼氏と一緒にいるのに。
他の男見ちゃダメでしよ〜…。
「何見てんの?」
『え゙?!』
不意に声をかけられてビックリ。
『や、何も見てない…』
「…ふぅ〜ん」
そう言いながらも目が泳いでしまう。
べ、別にやましいコトなんてしてないのに!!
何でキョドってんだ?!、私。
「…まぁ、いいや」
フッと笑った郁が私に向かって手を差し出した。