半熟cherry

『…なに?』

「手、出して」

『なんでよ?』

「…空気読め。
この流れで握手するヤツがいるか?」



…まぁ、確かに。



でも。

私とアナタは“カレカノ”じゃない。

“教師と生徒”なんだよ?



…手をつなぐ理由なんて。

どこにもないじゃない。



「…時間もったいねぇし、行くぞ」



グイッ。



半ば強引に。

郁は私の左手をとって歩きだした。



 

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