半熟cherry
大きく目を見開いて。
変な声を出したのは。
…………郁。
「……なにコレ……」
私と郁の唇の間には。
白いオシボリが一枚。
『…そうそうからかわれてたまるかッ』
そう。
郁と私の唇が触れてしまう前に。
……と、言うか。
“なぁんてね”とか言って。
またからかわれる前に。
私は顔の前にオシボリを広げたんだ。
「…信じらんねぇ…」
顔の前に広げられたオシボリを見ながら。
郁はポツリ、つぶやいた。