半熟cherry
7月26日。
期末テストで前代未聞の700点満点をとった“見返り”として。
“茜の時間、24時間いただきマス”
郁はそう言った。
その日の郁は。
学校にいるトキとは違ってて。
…正直…何度かドキッとした。
でもそれは。
見慣れない郁を見たせいだって思ってた。
“……茜が欲しいんだよ”
郁が苦しそうにつぶやいたトキ。
私まで心臓を掴まれたんじゃないかってぐらい。
苦しくて…痛かった。
その日郁が残した首元の小さな痛みは。
赤みだけを残して、感覚は薄れてしまったけれど。
胸の痛みは。
今も薄れることなく。
ズキズキと。
痛みを訴えている。