半熟cherry
その日は特に何事もなく。
休み明けの研修の予定を組んだり。
1学期の成績をパソコンに入力したり。
個人的な仕事ができた。
ただ。
パソコンに入っている“逢沢 郁”の文字を見るたびに。
心臓を掴まれたように胸が痛くなって。
キーボードを打つ指が止まってしまっていた。
……考えすぎ、考えすぎ……
『………暑い…』
仕事を終えて外に出た。
陽が少しだけ傾いてきた夕方。
…と、言ってもまだまだ暑い。
さっきまでの冷房が恋しいよ…。
………このままだと、溶けちゃいそ…。
まとわりついてくるような暑さに。
少しイラだちを感じながら。
校舎裏に停めてある車へと歩いた。