半熟cherry

「…あそこにいるのって島崎先生と加藤先生?」



神社の境内の隅っこにある大きな石に座りながら。

買ってきた大量の食べ物を膝の上に広げたトキ。

一美が少し離れた階段のトコロを指差しながら言った。



『……え〜…?』



不機嫌丸出しな声の私。



島崎先生と加藤先生?

……うん。

加藤先生はともかく。

島崎先生には会いたくない。



…夏休み前に映画やら食事やら誘われたんだよね。

文化祭のトキのこともあって。

気持ち悪くて。

丁重にお断わり。



“サワヤカ”なんて。

上っ面だけの判断で言わないでほしいわ。

……お腹の中じゃ何考えてるかわかんないし。





………なんて。

心の中で毒を吐きながら。

一美が指差した方を見た。



 

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