半熟cherry

神社の境内から人込みを擦り抜け。

神社の裏にある公園に連れてこられた。





…なんなのよ、一体…。



浴衣のせいで走りづらかったし。

下駄の鼻緒が擦れて足の指も痛い。



……座りたい……。





そんな私の気持ちなんかこれっぽっちも感じてない島崎先生。

「…ここなら、ゆっくり話せますね」

ちょっと額に汗を浮かべてニッコリ。



…生徒が見たらキャーキャー言いそうな微笑み…。

でも。

私的にはただの胡散臭い微笑みしか見えマセン…。





「2人きりで、話がしたかったんです」





外灯はいくつもない。

薄暗い公園の静けさが。

公園を吹き抜ける生ぬるい風が。

島崎先生の胡散臭い微笑みを。

よけいに気持ち悪く感じさせた。



 

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