半熟cherry
「なに、これ…」
『…島崎先生…』
「見りゃわかる。
…なんで転がってんだよ…」
目を見開いたまま。
郁が足元の島崎先生を見つめた。
……思い出した記憶の底にあったもの。
前にもあったんだ、同じことが……。
「…………だ…」
頬を擦りながら。
何かを呟きながら島崎先生が起き上がった。
ビクッ。
起き上がった島崎先生を見て。
郁が私を抱き寄せる。
……郁の体温が。
私を安心させてくれた。
「……見た目も変えて。
君にふさわしくなるように努力をしてきたんだ…」
拳をギュッと握る島崎先生。
「…あの日、君が。
“キモい”と言った、あの日から…」