半熟cherry
――――――――――――
―――――――――
―――――……
“好きだッ!!”と抱きつかれた直後。
私は。
“キモいッ!!最悪ッ!!”
そう叫んで。
力任せに殴った。
平手打ちじゃなくて“グー”で。
先輩は。
油断していたせいか。
その場に倒れた。
私は。
その場から走り去った。
同じ学校だってのはわかるんだけど。
それ以来先輩を見かけるコトはなかった。
……その先輩の名前は……。
「……初恋だったんだ。
今でも、忘れられない……」
島崎先生が弱々しく言葉を紡ぐ。
「あの時も、こうやって殴られた。
…今度こそ、と思ったんだ。
変わったつもりでいても。
全然変わってなかったのかな…」
寂しそうに島崎先生が微笑んだ。
『…島崎先生が、あの先輩…』
また背筋がゾクゾクした。