半熟cherry
サラッと“茜”って呼んだ郁。
……島崎先生、気付いてなければいいんだけど……。
「あ、そうだ」
歩きだした郁は何かを思い出したように立ち止まった。
「……少しでもよけいなコト言ってみな?
……謹慎どころじゃすまさねぇよ?」
目元は鋭く島崎先生を射ぬいていて。
口元は右端だけを持ち上げて不敵な笑いを浮かべてる。
………こ、怖い……。
郁がこういう笑いを浮かべる時は。
ろくなコトを考えてない。
島崎先生も何かを悟ったのか。
黙って何度か頷いた。
……島崎先生、ご愁傷様……。
こうして。
私は郁に連れられて公園を後にした。