半熟cherry
郁の唇が近づいてくる。
郁との距離が詰まっていくぶん。
私の心臓は速度を上げる。
…………あと、5センチ………。
…涼真の言うとおりだったかも。
自分のキモチを素直に認めたら。
ココロが軽くなったよ。
このキモチを伝えていいのかはわからないけど。
“好き”でいるくらいいいよね。
薄ら開いていた郁の瞳が閉じられたのを感じて。
……私も、目を閉じた。
「…茜〜ッ!!いるの〜?!」
………あと、3センチ。
ほんの少し動けば唇が触れてしまう距離。
そこまできておいて。
公園に響く私を呼ぶ声は。
それ以上進むコトを許さなかった。