半熟cherry
「…じゃあ、最後は逢沢か」
教壇から担任が出席簿を見ながら言う。
その声に合わせるように。
廊下側の一番後ろの席の生徒が立ち上がった。
スラッと背が高く。
みんなと同じ制服を着ていると言うのに。
ホントに高校生?
そう聞きたくなるような感じ。
あ、老けてるとかじゃなくて。
雰囲気がオトナっポイの。
なんか周りとは違うオーラを纏ってる。
私が高校生のトキ、あんな人いたかなぁ?
『………ッ!?』
立ち上がり様に彼は。
真っ直ぐに私の方に視線を向け。
気付かないんじゃないかってくらい。
薄らと口元を緩ませた。
そして。
「…逢沢 郁(オウサワイク)です。よろしくお願いします」
彼は静かにそう言った。