半熟cherry

「2年6組すごいよねぇ」

「逢沢クンと桜井クンが一緒のクラスだよぉ」

「うらやましいケド理数クラスには入れないってぇ」

「確かにー」





新学期が始まって。

今はまだまだ落ち着かない。

そんな時。

廊下や授業をするクラスでそんな話をよく耳にした。





そして私は。





『ん〜今日も暖かい』





ヒマな時間は保健室にいるようになった。





「……茜、授業は?」

『今空き時間だもーん』





ホントは次の授業の用意をしなきゃならないんだろうケド。

教官室は難しい論文ばかり並んでるし。

職員室は堅苦しい。

その点“ココ”は気楽だった。





『ねぇねぇ、一美』

「んー?」

『2年6組の逢沢クンと、り…桜井クンってなにがすごいの?』





よく聞くウワサ話のひとつに過ぎないんだろうケド。

涼真の何がすごいのかが知りたい。

ただの好奇心。

ただの興味本位。





涼真のコトだから、。

どーせ大したコトないに決まってるんだろうけど。





私は一美の言葉を待った。



 

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