半熟cherry
「うわッ、ガッツリ見えんじゃん」
『こんなに見えたんだぁ…』
ベランダに出てみると。
ちょっと遠目ではあるけど。
夜空に色さまざまな花を咲かせる花火がキレーに見えた。
『…ビール、持ってこよっかな?』
花火見ながらビールなんて最高じゃない?
なんてちょっと思いながら。
もう一度部屋に入ろうとすると。
「俺、持ってくる」
郁が腕を掴んで私をベランダに引き戻し。
代わりに自分が部屋に入っていった。
『…あ、りがと…』
郁の背中にお礼を言った。
でも、ガラスの窓に阻まれて多分届いてない。
…郁が掴んだ腕。
…掴まれた腕が、熱い……。
こんなコトを意識してしまうなんて。
私は重症かもしれない。