半熟cherry
ベランダの手摺りに寄りかかって花火を観てた。
打ち上がり、濃紺の空に花を咲かせ。
そして散っていく。
一瞬しか咲けない花を。
みんなどんな気持ちで観ているんだろうか。
恋人と一緒で楽しい?
友達と一緒に騒いでる?
1人でゆったり?
……じゃあ、私は……?
『……ヒャッ?!』
ふいに首に冷たいモノがあてられた。
ビックリして振り向くとそこには。
「お待たせ」
片手にビールと。
片手にプリンを持った郁がいた。
『プリン?』
「俺、ビール苦手だから」
眉間にシワを寄せた郁が舌をペロッと出した。
郁が持っていたそれは。
一美が持ってきてくれた。
サクランボが上にのってるプリンだった。