半熟cherry
「……自分で受け持ってるクラスなのに知らないの?」
『んー?名前と顔は一致したよ?』
「そうじゃなくて…」
一美は呆れている。
そんなコト言われたって。
知らないモンは知らないんだから仕方ないじゃん。
“プゥ”っと膨れた私に。
一美はため息混じりに言った。
「逢沢クンも桜井クンも全国模試10位以内キープ」
………え?
「部活はやってないみたいだけど。
運動部の助っ人頼まれて、そのまま県の代表メンバーに入っちゃうような感じ」
………え?
「文武両道、しかもあの容姿ならウワサにもなるわよ」
『…えぇ〜ッ?!』
涼真が、全国10位?!
文武両道?!
ウソウソ、信じられないッ!!
あの涼真だよ?!
そして。
2年6組にはそんなヤツがもう1人いるなんて。
それが“逢沢 郁”…?
そんなすごいならウワサにもなるよなぁ。
うん、うん。
一人で頷き、一人で納得しながら。
一美の入れてくれたコーヒーに手を伸ばしたトキだった。