半熟cherry
ガラッ。
保健室のドアが開いた。
「一美センセー、調子悪いから寝かせてー」
ドアに背中を向けていた私。
聞き覚えのある声…。
この声は……。
『…涼真?』
「……茜ッ?!」
振り向いたそこには。
ブレザーはボタンを留めず。
ネクタイも緩めてダルそうにしている涼真が立っていた。
「…桜井クン、遊び過ぎ?」
「遊んでナイ。バイト」
呆れたような一美の言葉を背に。
涼真は部屋の奥にあるベッドの方へ勝手に歩いていく。
…会話と態度からして。
涼真は保健室の常連らしい。
「…ところで」
今まで涼真に話し掛けてた一美は。
クルン、と私の方を向いた。
「2人は知り合いなの?」
『…なんで?』
「“涼真”と“茜”って、お互いに名前で呼んでた」