半熟cherry
chapter:13
目を細めて口角を上げるイジワルそうな微笑み。
からかうトキのやんちゃな笑顔。
心臓を掴まれたような苦しそうな顔。
骨っぽいケドキレーで大きな手。
ちょっとハスキーな甘い声。
……浮かんできたのは。
全て郁だった。
郁のコトを考えるだけで胸がキュッって痛くなる。
郁の笑顔を思い出すだけで嬉しくなる。
私は教師だけど。
郁は生徒だけど。
やっぱり私は。
郁が好きなんだ…。
好きだから。
触れるだけのキスに物足りなさも感じたし。
もっと…触れたいって思ったんだ。
「………よ」
『…え?』
郁が何かを呟いた。
と、同時に視界を覆っていた手が外れて。
私は郁に抱きしめられた。