半熟cherry
………あれ?
痛く、ない……。
時間的にはとっくにしりもちついてていい時間なのに。
「…ったく、危ねぇなぁ…」
“ハァー”とため息が聞こえた。
「いきなり腕引っ張んなよ」
そう聞こえた目の前には。
郁の顔。
『はぁッ?!』
いきなりのコトに、今度は私の顔が熱くなる。
至近距離に郁の顔ッ!!
顔、顔、顔ッ!!
…どうやら、郁に抱き抱えられたらしい。
「あ、また赤くなった」
郁はよろけた体を立て直してくれると。
またイジワルそうに目を細め。
“ツンツン”と私の頬をつっついた。
「なぁ、茜」
『な、なによ』
イジワルそうな笑みから真っ直ぐ私を見つめ。
マジメな表情に変わっていく。
「大事にするから」
郁は私の髪を一束、手にとると。
そっと唇を寄せた。