半熟cherry

………あれ?

痛く、ない……。



時間的にはとっくにしりもちついてていい時間なのに。





「…ったく、危ねぇなぁ…」



“ハァー”とため息が聞こえた。



「いきなり腕引っ張んなよ」

そう聞こえた目の前には。

郁の顔。



『はぁッ?!』

いきなりのコトに、今度は私の顔が熱くなる。



至近距離に郁の顔ッ!!

顔、顔、顔ッ!!



…どうやら、郁に抱き抱えられたらしい。



「あ、また赤くなった」



郁はよろけた体を立て直してくれると。

またイジワルそうに目を細め。

“ツンツン”と私の頬をつっついた。





「なぁ、茜」

『な、なによ』



イジワルそうな笑みから真っ直ぐ私を見つめ。

マジメな表情に変わっていく。





「大事にするから」





郁は私の髪を一束、手にとると。

そっと唇を寄せた。



 

< 265 / 283 >

この作品をシェア

pagetop