半熟cherry
……え?
なんで?
郁の顔、真っ赤だ…。
ちょっと赤い、とか。
ほんのり頬を染めて、とか。
そんなレベルじゃない。
“真っ赤”
熟れたトマトみたいな顔をしてた。
『……い、郁……?』
「や、あッ…と…えッ…」
しどろもどろ。
何回か…数えるくらいだけど。
郁の顔がほんのり赤くなるのは見たコトある。
でも。
こんな郁を見るのは初めてで。
自分がさっき言った“好き”すら霞んでしまった。
『…郁、顔赤い…』
「…うるさいよ」
真っ赤に染まった顔を隠すように。
俯きながら口元を手で覆う郁。
そして。
聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟いた。
「…あんなストレートに言うかな…」