半熟cherry
郁はしゃがみこんでるから。
立ってる私を見上げる形になる。
いや“見上げてる”んじゃない。
視線だけ上げてるから“上目遣い”になってる。
……どうしよう。
すっごくカワイイんですケド。
普段がなんかスカしてるような感じがするから余計カモ。
さっきより赤みはひいてきたケド。
ほんのり赤い不機嫌そうな顔の上目遣い。
…こっちがドキドキしてきてしまいました…。
「…俺、さっき言ったし」
『はッ?!』
郁は私から視線を外してそう言った。
さっきって。
あの“なんとなく”“サラッと”言った“アレ”ですか?!
『あんなのヤダ!!』
「何度も言わない」
『言ってよ!!』
「…お前はガキか…」
呆れたように郁がため息を吐いた。
さっきは“そんなガキっぽいトコも好き”って言ってたじゃん!!
郁のバカ!!
「……茜」
ふいに郁が。
腕を引っ張った。