半熟cherry

声のした方に向くと。

「あ、やっぱり」

さわやかに笑う男の人がいた。





『……化学の島崎先生、でしたっけ?』

「ご名答。友藤センセイはどちらへ?」

『…職員室に戻るところデス…』





正確には“向かうトコロ”。

なんだけどね……。





化学の島崎 貴人(シマザキタカト)先生。

見た目はさわやかな好青年。

若くて人気もあるらしい。

どうやら同じ学校の先輩だったらしく。

やたら話し掛けられるんだケド。





……全く覚えがありまセン。





中学の先輩なら一美が知ってるかな、と思って聞いてみたんだけと。

一美にも覚えナシ。





いったい誰だか私にはわからず。

でも島崎先生は私を知ってるみたいで。

色々話し掛けてくる。





でも。

正直、めんどくさい。



 

< 29 / 283 >

この作品をシェア

pagetop