半熟cherry
声のした方に向くと。
「あ、やっぱり」
さわやかに笑う男の人がいた。
『……化学の島崎先生、でしたっけ?』
「ご名答。友藤センセイはどちらへ?」
『…職員室に戻るところデス…』
正確には“向かうトコロ”。
なんだけどね……。
化学の島崎 貴人(シマザキタカト)先生。
見た目はさわやかな好青年。
若くて人気もあるらしい。
どうやら同じ学校の先輩だったらしく。
やたら話し掛けられるんだケド。
……全く覚えがありまセン。
中学の先輩なら一美が知ってるかな、と思って聞いてみたんだけと。
一美にも覚えナシ。
いったい誰だか私にはわからず。
でも島崎先生は私を知ってるみたいで。
色々話し掛けてくる。
でも。
正直、めんどくさい。