半熟cherry
…この子も、全国トップクラスの成績なんだっけ…。
椅子に座ってる逢沢クンを横目で見ながら。
資料をまとめて束にしていく。
涼真はそんな雰囲気ないケド。
逢沢クンは…。
メガネのせいかな?
頭良さそうに見える。
……にしても。
何しに来たんだ……?
逢沢クンは黙って窓から外を見てる。
私もまた。
黙って資料を1枚ずつとると。
束ねるという作業を繰り返していた。
10部くらいまとめた頃。
……パチン……パチン……。
乾いた音が耳を通った。
……ん?
なんの音だ?
音鳴るほうを見ると。
逢沢クンが資料をホチキスで留めていた。
『……逢沢クン?』
「手伝いマス。その方が早く終わるでしょ?」
ニッコリ微笑む逢沢クン。
この瞬間。
逢沢クンが王子様に見えたのは。
言うまでもないだろう。