半熟cherry
私が束にして、逢沢クンが留めていく。
夕暮れの教室に。
紙が擦れる音とホチキスの乾いた音だけが響く。
…授業中もマジメに受けてるし、成績優秀。
勉強以外にも運動もできる。
先生方からも悪い話は聞かない。
見た目も。
背は座ってるからわからないケド。
涼真とたいして変わらないはず。
……ってコトは。
そこそこ高いよね。
涼真ともココまでは大差ないケド。
アイツには優しさが足りない!!
逢沢クンは。
……品行方正な王子様、だわ。
俯き加減に作業をしている逢沢クン。
ちょっと長めな前髪がメガネを擦る。
……鼻筋通ってるし。
キレーな髪してるなぁ。
光に透けてるせいかな?
柔らかい茶髪に見える。
「……俺の顔、なんかついてます?」
逢沢クンは。
留め終えた資料を揃えながら言った。
ウソウソ!!
そんなに見てた?!
ギャーッ!!
恥ずかしい!!
顔が熱くなるのがわかった。