半熟cherry
さっき涼真はサラッと“イトコ”って言っただけ。
それを聞いてたなら。
その場でなにかしらのリアクションがあっていいはずだ。
ひょっとして。
……前から知ってた……?
「あ、そうだ。コレ、加藤先生から」
思い出したように郁がそう言って、ポケットから出したのは。
折り畳まれた白いメモ用紙。
「大事なコトが書いてあるから、すぐ確認するようにって言ってましたよ?」
大事なコト、ねぇ…。
加藤先生のコトだ。
また雑用とか?
…う〜わ〜、ありえる。
『……わかった、ありがとう』
ホントはあまり受け取りたくなかったケド。
受け取らなきゃまた後が大変そうだし。
心の中でため息を吐きながら。
郁からメモを受け取った。