半熟cherry
「も〜遅いッ!!」
入ってきたのは。
金髪に近い色の髪を緩く巻いた女の子。
たしか、涼真たちのクラスの…。
「げッ、西村」
涼真のイヤそうな声がした。
あ、そうそう。
西村サンだ。
西村 奈緒(ニシムラナオ)サン。
いまどきの女子高生って感じの子。
西村サンは腰に手を充てて涼真の方を向いた。
「衣裳合わせ、あと桜井クンだけなんだから早く戻って来てよ!!」
『……衣裳、合わせ?』
はて。
今、何の時間だっけ?
通常授業じゃなかったっけ?
私の独り言が聞こえたのか。
郁が言った。
「今日から3日間は文化祭の準備期間。今週末は文化祭」
…あ、そういえば。
今朝の会議でそんなコト言ってたような…。
この学校。
昔から1学期に文化祭やるんだよね。
ちなみに体育祭は2学期だけど。
「……しっかりしてクダサイ」
頭の上でため息が聞こえたのは。
聞こえなかったことにしておこう…。