半熟cherry
『見回り以外は何もないんだもーん』
「あー、はいはい」
呆れたようにため息を吐きながら。
一美はコーヒーの入ったグラスをコトン、と私の前に置いてくれる。
私はいつもどおり。
空き時間は保健室に来ていた。
今日は文化祭。
ほとんど空き時間みたいなもんだ。
「茜が来るまではたまに桜井クンがサボりに来るくらいで静かだったのに」
『さみしかったデショ?』
「まさか。仕事してましたから〜」
そう言いながら。
一美は窓際にある椅子に座った。
「そう言えば、2-6は文化祭なにするの?」
『……知らない』
「桜井クンとか逢沢クンとかに聞かないの?」
『い…逢沢クン?!』
涼真はともかく。
なんでそこで郁が出てくるんだ?!
「逢沢クンとも仲良しなんじゃないの?」
『や、やめてよッ!!』
まさか。
“あの日”隣に寝てたのが郁だったなんて。
それを理由に絡まれてるなんて。
……とてもじゃないケド、言えません……。